日本のカンキツトリステザウイルス – Citrus tristeza virus,CTV

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マイヤーレモンの木の様子(冬)-Meyerlemon-tree 2021年12月4日
マイヤーレモン-Meyerlemon-tree 2021年筆者撮影

カンキツトリステザウイルス(Citrus tristeza virus,CTV)は柑橘類に寄生するウイルスです。南アフリカからアメリカやブラジル、スペイン、日本など世界各地に拡がり多くの木を枯れさせました。このウイルスはアブラムシなどの昆虫によって媒介され、あるいは人の手による接木で他の苗木に感染します。日本でこのウイルス病が拡大したのは戦後の広島県のハッサクの大量枯死により、ウイルスが問題視されるようになりました。日本のほとんどの柑橘類が既に感染していると見なされています。

カンキツトリステザウイルスに弱い品種はハッサク、ナツミカン、オレンジ、ユズ、セミノール、ブンタンなどでこの病気をカンキツ萎縮病やカンキツステムピッティングと名付けられました。この病気に感染した苗木は果実の小玉化、収穫量の低下、樹勢の衰弱、枯死が見られます。

研究によりウンシュウミカン系統に耐病性があることが明らかとなりました。

このページでは既に日本中に広まってしまったカンキツトリステザウイルスの対処について考えたいと思います。

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症状

別名ハッサク萎縮病です。幹に皺が寄って果実が変形します。樹勢が低下して果実が小玉化します。果実には虎斑という水玉の褐変が生じます。カンキツトリステザウイルスに感染した苗木に次のような症状が現れます。

ステムピッティング病

幹に老人のシワとよく似たものが現れ幹の中身の様子もおかしくなります。症状が進行すると枯死します。

英語のステム(stem)とは日本語で茎という意味です。ピッティング(pitting)はくぼみという意味です。

樹勢の低下

健康な苗木と比べると明らかに木が小さいです。

果実の病変

通常よりも小さな実がたくさんなったり果実が変形しています。果皮に虎斑といって虎の毛皮模様の斑点が出ることがあります。

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感染経路

このウイルスの感染経路は最初に述べたように、アブラムシなどの昆虫など自然感染によるものと、人為的な感染です。代表的な媒介昆虫にミカン黒アブラムシが挙げられます。ですが、柑橘類を訪れる昆虫はそれだけではありません。カイガラムシや、アブラムシの汁を餌とするアリなども運搬手段となり得ます。

人の手による感染経路は、台木または穂木を通じての感染、剪定鋏や鋸、あるいは感染樹が植えてあった土壌などによる感染が起こり得ます。感染した木の頂芽を切って別の台木に継いだからといってウイルスがいないわけではありません。

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対策

既にウイルスは日本のほとんどの柑橘類の苗木に寄生しているので根治する方法はすべての苗木を処分して無病の苗木を導入する以外にありません。状況は焼石に水ですが、気休め程度の対策なら可能です。それは耐病性のある苗木を植えること、ウイルスが蔓延していない苗木や穂木や台木を選ぶことなどです。殺虫剤による害虫の駆除や、剪定鋏や剪定鋸は1株切るごとに消毒して傷口を剪定用の接着剤で塞いでウイルスの侵入を防ぎます。また、常に新しい苗木を植え続けて枯死に備えます。

耐病性のある品種

症状がまったく無いか、ほとんど影響を受けない品種です。

  • ウンシュウミカン
  • カラタチ

しかし私が観察した結果、ウンシュウミカンでも由良早生はCTVに弱いと思われます。抵抗があると言ってもある日突然枯死してしまいます。

耐病性がややない品種

被害が軽微な柑橘類の一覧です。

  • スイートライム
  • レモン
  • キヌカワ
  • ナルト
  • サンボウカン
  • タンカン
  • テンプル
  • スダチ
  • クレメンティン
  • キシュウ
  • サンキツ
  • マメキンカン
  • シークワーサー
  • カラタチ
  • キャリゾシトレンジ
  • トロイヤーシトレンジ
  • 小林ミカン
  • 河柑
  • カラマンダリン

耐病性のない品種

カンキツトリステザウイルスに弱いと考えられている品種は次の通りです。

  • ブンタン
  • グレープフルーツ
  • ウワポメロ
  • ハッサク
  • キクダイダイ
  • スイートオレンジ
  • フナドコ
  • イヨカン
  • ユズ
  • ハナユ
  • ソートン
  • セミノール
  • 清見
  • シトレンジカット
  • ベルガモット
  • カワノナツダイダイ
  • ネーブルオレンジ

などです。

ウイルスフリー苗

2021年の時点でカンキツのウイルスフリー苗というものは確認されていません。不知火の改良苗や由良早生の改良苗のように弱毒性のCTVに感染させた苗木が一部品種で販売されているのみです。弱毒株を苗木に植え付けるにより強毒性のウイルスの増殖を抑えようというものです。この弱毒性のCTVに感染させた苗木は、強毒性のCTVに感染した苗木よりも樹勢の改善が見られます。

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まとめ

現時点でこのウイルスをカンキツの苗木から取り除くことは政治家さんが世の中に号令をしない限り不可能です。個人にできることは、予備の苗木を育てて置くことや、農薬散布をしっかり行うことが唯一の抑制策といえましょう。このままでは種子入りのカンキツの輸出も厳しいかもしれません。

参考文献

  • わが国におけるカンキツトリステザウイルスに関する現状と課題(家城洋之, 2003)
    • https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/archive/files/naro-se/fruit2_01.pdf

更新履歴

  • 2021年12月22日 記事を執筆いたしました。
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